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2005.02.16

経済制裁はダメージを目的とするな。

ume

 昨日の多摩地区は暖かい一日でした。もう梅が咲き始めました。この梅が終わるといよいよ桜ですね。季節は確かに移っていきます。

 北朝鮮への経済制裁の効果が試算されています。自民党のシミュレーションチームの試算で、北朝鮮のGDPを数%減らす効果があると報じられています。具体的には、1.25%から最大7%ということですが、北朝鮮の経済統計数字がどこまで信用できるかで、これだけ幅のある数字が並ぶのでしょう。

 私の手元にある数字ですと、北朝鮮のGDPは170億ドル。輸出入合わせた貿易依存度は約17%。うち貿易に日本が占める割合は13%です。そうすると、日本の貿易が全て止まると、GDPへの影響は2.2%程度。いきなり全ての貿易が止まることは考えられませんので、影響は2.2%より若干少ないのだろうと推測されます。

 これもどこまで正確かはわかりません。では、北朝鮮にとって2%くらいのGDP低下はどうなのかというと、恐らくは大したことではないのだろうと思います。というのも、最新の数字はないのですが、99年から4年連続でGDPはプラス成長しているようで、01年に3.7%、02年に1.2%成長したとの統計数字があります。北朝鮮の経済に一番影響のある国は中国だと思います。その中国はここ数年高成長を続けていますから、北朝鮮の経済成長は03年以降も続いていても不思議はありません。1~4%の成長をしているのなら、2%程度GDPが低下させられても大きなダメージになることはないように思います。

 数字の正確性に疑問があるため何ともいえませんが、日本の経済制裁効果が7%くらいあって、かつ、北朝鮮の成長率が鈍化していた時に、日本の経済制裁はダメージを与えることができるようです。でも、上記で見たとおり、私は日本単独での経済制裁が北朝鮮経済へ与えるダメージは、恐らく低いのだろうと思っています。ただ、だからこそ、経済制裁はしておいたほうがいいのではないでしょうか。

 制裁による効果が大きかった時に、北朝鮮はどんな暴発をするかは小泉さんや外務省の臆病なお役人ばかりではなく、私も心配です。影響が小さいのであれば制裁による北朝鮮の暴発の危険性も低くなるわけですから、安心して制裁ができるはずです。日本が単独で、他国に先駆けて経済制裁をすることで、今後北朝鮮の核問題や拉致問題が国連の安保理などで取り上げられた時に、イニシアティブをとるきっかけにもなると思います。

 経済制裁を行えば、当然ながら北朝鮮は反発してますます話し合いに応じないという見方もできます。しかし、中国など親しい国との交渉は行うはずで、中国は北朝鮮を孤立させることは望みません。中国が北朝鮮を国連、もしくは6カ国協議に応じさせるために日本に譲歩を迫った時に、外交カードとして日本の経済制裁の一部または全面解除を使えばいいのです。つまり、日本への反発を強めた場合、もともと効果のない経済制裁を解除することで交渉のテーブルにつかせることができます。北朝鮮が交渉を拒絶している現状では、経済制裁によって日本は何も失うものはありません。そう考えれば、その後の交渉でも強気で臨めるでしょう。

 ひとつ気になることは、北朝鮮との貿易を止めることによって損害を受ける日本の方はどのくらいいて、損害の見込みはどのくらいなのか。新聞、テレビでそういったことを見たことがありません。当然ながら一定期間は国家補償は必要でしょう。ただ、海外との貿易は当然カントリーリスクはつきもので、北朝鮮は他の国に比べてリスクが高いことは十分に予見可能だったわけですから、この面のコストは大きいものにはならないと思います。

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