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2005.03.30

BSE検査見直しに思う

 BSEの全頭検査の見直しが決まりました。全頭検査は科学的に必要ないという食品安全委員会の結論です。この結論がでている一方で、厚労省が全頭検査に補助金を出すということは、厚労省は食品安全委員会の結論を信頼していないということに等しいといえます。もし食品安全委員会の結論が信頼するに足るものであって、それでも消費者が全頭検査を求めるのならば検査費用は消費者が負担してしかるべきです。全消費者が全頭検査を望むのなら検査費用を税金から出すこともいいでしょうが、全消費者の意見の一致などありえません。科学的に全頭検査を緩和しても心配ないのであれば、検査を緩和した値段の安い牛肉と安全を重視した高い牛肉の二種類が売られるようにならなければおかしいはずです。

 厚労省が全頭検査に補助金を出し続けていると、食品安全委員会の結論は信じられないものなのかという疑問が芽生えてきます。私をはじめ、多くの消費者は専門的なことはよくわかりませんから、税金によって専門家に検討してもらっているわけですが、その結論が出ても信頼しきれないのであれば何のために検討したのかわかりません。

 このような矛盾した態度が、アメリカによる牛肉輸入再開への圧力となっているといえるように思います。アメリカによる圧力によって輸入を再開するわけには行きませんが、身内である食品安全委員会を信頼できないのにどうして米国政府や米国畜産業者を信頼できるのでしょうか。食品安全委員会を信用していない以上、米国産牛肉の輸入再開はきっぱり断るのが筋というものです。ただし、日本は非科学的な国といわれることを甘んじて受けなくてはいけませんが。

 科学的に不明確な点が多いというなら安全であるという結論は出せないはずです。他国がどうであれ、科学的にどうなのかという視点で結論を出して全頭検査は必要ないならその結論は尊重されるべきです。何年か何十年か経って、現時点の科学力では解明しえない原因で人体に被害が出ても、食品安全委員会に非がないといっていいはずです。それでも被害者が出たら、誰も防ぎ得ない原因による被害として国民全員の税金から損害を賠償してあげるよりしかたがない。これはHIVのケースとは違い、公務員や国から委託された学者の不法行為に基づく賠償ではなく、誰にも責任を問えないからみんなで損害を補填するものです。

 捕鯨は科学的に問題ないことを国として主張するのであれば、ここも科学で判断することが必要です。人の健康に関することとはいえ、国民の負託を受けた食品安全委員会を信用できないのならば、科学自体を否定することです。もちろん無理やり牛肉を食べることは強制できません。科学を信用しない人は食べなくてもいいわけですし、全頭検査をして欲しければ自ら費用を負担してそれを食べればいい。むしろ米国の牛の月齢をどうやって20ヶ月未満かどうかを見分けるのか、科学的にしっかりと検討して欲しいと思います。

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