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2005.04.08

法律が信じられなくなりそうです

 この間、4月4日の記事で尊厳死と題して、アメリカのシャイボさんの尊厳死を認めた裁判所の判断には賛成できないと書きましたが、その後入ってきた情報を考慮すると、論理的帰結と、心情的な思いとが食い違うジレンマに苛まれます。

 考慮する情報として3点あります。一つ目はシャイボさんは人工呼吸器をつけていたのではなく、自発呼吸が可能であり、延命を主張した両親によれば問いかけに反応していたということ。二つ目は、尊厳死を主張した夫のマイケルさんには、10年越しの愛人がおり、二人の子供がいたということ。三つ目はシャイボさんが寝たきりになったことから保険金が約1億円が夫に支払われており、両親によれば治療や検査を拒否して保険金を治療に使ってはいないと言われていることです。

 悪く想像すると次のようなことになるのでしょうか。シャイボさんが寝たきりになったのは90年ということですから、それから数年後に夫には愛人ができて子供もできました。そして寝たきりの重度障害ですから死亡保険金と同等かそれ以上の保険金を受け取ったものの、シャイボさんが邪魔になって自発呼吸ができるけれども意思表示ができないことから、夫は尊厳死を主張してシャイボさんから解放されて保険金を持って愛人と子供のたちの元へ行って新たな生活を始めようとしている。

 上記の懸念がある以上、夫の主張に簡単にのるわけにはいかないと考えてしまいます。でも、日米で違うかもしれませんが、日本の基準で考えてみるとそうともいえません。まず夫が愛人を作ることは、不道徳ではあっても姦通罪でもない限り夫を責めることはできません。あくまでも夫婦間の問題で、離婚が問題になっているならともかく、意思表示のできないシャイボさんと夫の間に離婚問題を認めることはできません。保険金を受け取ることは、保険契約に則った上でのことでしょうから問題になりません。保険金をシャイボさんの治療に使っていなかったとしたら何か問題になるかというと、どうでしょうか。あまり問題にはなりそうにありません。というのは、支払われた保険金は死亡保険金と同じ性格のものと推測されます。生命保険の支払事由は、たいてい死亡時か重度障害となっています。寝たきりは重度障害といえるでしょうから保険金が支払われたものと考えられます。つまり死亡保険金と同じ性格のものということです。そうすると、保険金は受取人の固有の財産と見なされます。固有の財産をどう使うかは所有者の任意です。仮にシャイボさんの治療費に使われていなくても問題にはできません。最後にシャイボさんが自発呼吸をしていた点ですが、呼吸をしていても意識がなければ植物状態に変わりありません。両親は問いかけに反応したといいますが、もしそれが本当なら尊厳死は認められないでしょうが、事実関係の真偽はここでは知りようがありません。

 こうして見ると、愛人を作って保険金を独り占めにしたかもしれない夫が、シャイボさんを事実上殺させたとしても何ら罪にはならないのです。もちろん夫がそうしたという確証はどこにもありませんが、そういうことをやろうとすればできたということです。このような状況で、裁判所は尊厳死を主張する夫を支持し、議会と大統領は延命を求める両親を支持しています。夫の主張は不適切かもしれませんが、なんら違法ではなく認めざるを得ません。

 不適切だけれども違法ではない、というと最近話題のライブドアを思い出します。株式市場でのもめごとと人の命に関わることは違うと言われそうですが、本質として変わることはありません。尊厳死は認められるべきものだとは思いますが、今回のケースで夫の言い分がそのまま通ることはやはり違和感が残ります。国が違うとはいえ、ライブドアにシャイボさん、さらに法の不備を突いた不適切な行為を目にするようでしたら法律というものが信用できなくなりそうです。

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Posted by: 医療保険・がん保険 | 2007.11.08 at 19:13

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