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2005.04.23

ODAは金額よりもノウハウ

 ドイツがODA増額を表明し、小泉首相もAA会議でODAの倍増を目指すと言明しました。両国とも安保理の常任理事国入りのためでしょうが、我国は昨年は減らしたという実績を考慮するなら、私はODAの増額には慎重であるべきだと考えています。もちろん、むやみに反対するつもりはなく、かといって常任理事国入りのためだけの増額には異を唱えたいと思います。

 アフリカなどの途上国の貧困問題は、大変なことなのは承知していますが、それは果たして援助金額を増やすことで好転するものなのでしょうか。ボツワナなど被援助国では、援助資金の流入によってその国の通貨価値を押し上げ、貧困からの脱出の牽引である輸出産業に打撃を与えてしまうという問題があるともいわれます。

 伝染病を防ぐには、値段の高い薬が不可欠ということではないはずです。現状の問題は、薬品や医療器具はあっても医療専門家がいないことであり、現地で専門家を育成しても報酬の高い先進国へ移住してしまうことです。

 日本の周辺である東南アジアは、ASEAN、中国、韓国等、戦後日本の援助を受けて、今や立派に自立しています。日本が戦後の焼け野原から短期間で先進国入りしたことは20世紀の脅威ともいえます。しかし、驚くことはそれだけではありません。国連の予算の約2割を負担しながら、周辺の東南アジア諸国へも援助をして、見事にその援助は花開いています。東南アジア諸国の発展は、各国の努力の賜物であることは当然ですが、目を見張る経済発展に日本の援助や投資が貢献したことも事実です。

 戦後の日本の援助額だけを強調するのではなく、政府は有償・無償のどのような援助を行い、民間企業はどのような投資をしてきたか、いわゆるノウハウをまとめて世界にアピールすべきだろうと考えます。それは日本のやってきたことを自慢するためではなく、貧困問題にあえいでいる国々への援助の方法論として、世界各国に参考にしてもらうためです。同時に、周辺国にはどれだけ日本が貢献してきたかを認識してもらういい機会にもなります。

 常任理事国入りするために単にODAの金額だけを増やすよりも、貧困国の問題をどうするかを検討し、その対策の手段として国連を使うことが有効と判断するなら、使えばいいでしょうし、安全保障の面から常任理事国になったほうがいいのならなればいいと思います。

 アナン氏の国連改革案は、日本の安全保障にとってものとは思えませんし、イラクへの援助計画で不正の疑いのある事務総長にODAの増額を求められても、安易に応じることには抵抗があります。常任理事国入りのために安全保障も、ODAも具体的な議論がなされないことは、極めて残念なことだと思います。

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