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2005.04.15

反日暴動の真意

 今、日本では物価は落ち着いていますが景気が良くありません。高度成長期は景気は良かったけれども物価高は困ったものだと言っていました。高成長だけれど物価が落ち着いているのがいいように思えますが、果たしてどうでしょうか。

 高成長で物価が落ち着いている国は中国です。中国は10%近い成長を遂げているにもかかわらず、消費者物価は1%近いマイナスです。中国は今の日本の物価状況で、高度成長期の日本の高成長ということが統計数字からいえます。数字だけ見ると非常に理想的にも思えますが、なぜこんなことが可能なのかというと、少々理屈っぽくなってしまいますが、「バラッサ・サミュエルソン理論当てはまらないから」ということのようです。日経BPの谷口智彦氏はいつも斬新な見方を教えてくれる方で、毎週、日経ビジネスEXPRESSのコラムを楽しみにしています。

 上の理論を要約すると、エレクトロニクス産業のような貿易財産業が理髪店のような非貿易財産業を引っ張っていくということです。貿易財産業は国際競争に揉まれますから、生産性が上がりますが、非貿易財産業はそうではありません。一人の床屋さんの捌ける客数が2倍になることはまずありえません。貿易財産業は生産性が上がるに連れて賃金も上がります。人も増やすでしょう。そうすると、非貿易財産業の賃金との間で裁定が働きます。エレクトロニクス産業が賃金を上げて人を増やすと、床屋さんでは生産性が上がらなくてもエレクトロニクス産業にヒトをとられて人手不足になります。そうすると床屋さんは散髪料を値上げして、賃金も上げることになります。

 日本の高度成長期には、このような仕組みで池田内閣の所得倍増計画が達成されて、みんなが豊かになったと考えると納得できます。ところが中国ではこの理論が通用していないということなのです。経済学者はその理由を、農村部の膨大な人口に求めています。谷口氏は膨大な人口の存在だけでは説明不足と指摘して、さらに加えて中国政府の役割を挙げています。中国の戸籍制度が重要な役割を果たしているのですが、中国では移動の自由はなく、政府が管理しています。これを非民主的といってしまえばそれまでですが、豊かな日本に貧しい外国人を無制限に入れることは日本の豊かさにとってマイナスであるように、中国の都市へ農村から無制限に移動を認めることは徒に都市をスラム化するだけであり、逆に全く遮断すれば都市と農村の格差が広がる一方です。中国政府は、床屋さんに人手不足が起きそうな分だけ農村からの移動を認めているのです。しかも、豊かな都市へ移動したいという人は、中国の人口13億人すべてとはいいませんが、農村部の人口だけあるといって過言ではありません。そうすると、中国では床屋さんに人手不足は起こらず、賃金も上がらないためインフレにもなりません。その代わりに都市に住んでいても、貿易財産業の関係者と非貿易財産業の関係者とでは貧富の格差が広がります。

 私は、先日の北京の暴動はこの都市の中での格差への不満が反日に向かったのではないかと思っています。貧しい農村から豊かな都市へ来て、これから豊かになれると希望を持っていた人々が、都市に来ても貧しくしかもその格差を目の前で見せ付けられる環境では不満も高まるというものです。農村なら貧しくとも目の前に格差を見せられることはなかったはずです。それ故、行動も尖鋭化し易かったのだろうと想像します。

 この問題の原因は日本にあるとする中国政府の発言はまったくバカげています。週末の町村外相の訪中では我国の主張を堂々と述べて欲しいと思います。町村外相は、日本の政治家にしては珍しく正論を述べる政治家だと期待しています。歴史認識については、4/7の日経新聞の春秋にまさに真実といえる言葉があります。

誤った歴史認識があるとすれば普遍的な唯一の正しい歴史認識があり得るという考え自体ではないか。

 中国が問題を解消するためには、日本にさまざまな難癖をつけて資金をむしりとることではありません。逆にいえば、日本はいくら中国へ援助しても10億人を超える人口をすべて豊かにすることは不可能です。この点から対中ODAを停止することは賢明です。対米、対欧摩擦のときは、直接投資をして現地の雇用を創出して治めました。日本では既に3千社を超える企業が中国に進出して雇用創出に貢献して、対中投資もかなり行っています。

 谷口氏は、国民の移動を管理する中国政府を称して、「世界最大の人事部」といっています。言いえて妙だと思います。そうであるなら、華僑の故郷という伝統を生かして、「世界最大の人材派遣会社」を目指せばいい。日本をはじめ先進国の多くは人口は減少して労働力は不足します。インドはIT分野で人材を武器に伸びています。中国には資源はなくても人材はあるはずです。もっともそのためには、反日教育などよりも、外国へ行っても犯罪などしてはならないということから教育しなければ人材など育つわけがないと思いますが。

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