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2005.05.18

カネボウ上場廃止の波紋への疑問

 上場基準見直しについて金融庁長官が東京証券取引所に報告を求めていましたが、東証の鶴島社長が記者会見で大変上手いコメントを出していました。

「虚偽記載による廃止基準は開示の正確さという証券市場の信頼の根幹を守る役割を持ち、見直しには慎重な議論が必要だ」

と述べる一方で、

「環境変化を踏まえ、廃止基準を含めた上場制度全般は適宜見直す必要がある」

と指摘しています。制度の硬直化は良くないけれども、原理原則を曲げるわけにはいかないということを言っているようです。

 カネボウの上場廃止をめぐって、東証は金融庁からイチャモンをつけられています。私はカネボウの上場廃止は当然だと考えるのですが、どうも別の考え方もあるようです。

 「ある企業が再生機構の支援で立ち直った企業を買収し、過去の粉飾決算を見つけて公表した場合、東証はどう対応するのか」という疑問をM&Aの専門家が口にしているそうです。

 まずやるべきことは、その買収された企業が本当に立ち直ったのかどうかを精査することです。上場するにふさわしい企業になっているのかどうかをまず確かめなければなりません。過去に嘘をついた実績があり、再生機構が再生している間もその嘘を隠してきた企業です。本当に立ち直って、上場するにふさわしい企業なのかどうかが、投資家としてははまず気になるところです。その結果上場するにふさわしくない企業であったのなら、上場廃止はやむをえないでしょう。もちろん、買収した人に責任はありませんから買収契約は取り消すことを認めてあげていいでしょう。つまりは、再生機構が買い戻すことになるはずです。買収者が見つけられる程度の過去の粉飾の事実を、再生機構は再生に取り組みながら見つけられなかったことに落ち度があったということです。

 上場するにふさわしくなっているのなら、結果オーライですが、上場していればいいでしょう。過去の粉飾に対するペナルティがないままですが、粉飾をした当事者は商法違反か証取法違反でしょうから、粉飾当事者の責任を問えばいいことです。市場に敢えて影響を及ぼす必要はありません。仮にその当事者が再生後にもその企業にいたとしたら、それは退出してもらうしかありません。再生後の企業がその当事者なしで経営することが難しいとしても退出してもらうことが必要です。それによって買収者もしくは投資家が蒙る損害は、粉飾当事者とその企業、そして再生機構が負担するのが妥当でしょう。

 もっとも、カネボウは再生したわけではありません。再生はこれからです。そのカネボウにしても、減資と経営者の交代で実質的に新しい企業に生まれ変わっているといえるのかもしれませんが、再生が必要なほど落ち込んだ企業を、過去とはいっても粉飾の事実に目をつぶって上場させておく必要はあるのでしょうか。ファンドが企業を再生する場合には、いったん非上場にしてじっくりと再生に取り組んで立派にしてから再上場して売却するものです。カネボウを上場廃止にしてもそれほど困ることはないはずです。

 金融庁が東証に報告を求めたことは、カネボウの上場廃止を快く思っていないという意思表示なのかもしれませんが、報告を求めるべきは、上場廃止基準の見直しではなく、なぜ今までカネボウの粉飾が発覚することなく、嘘が市場でまかり通ってきたか、今後このようなことが起きないようにするためにはどうしたらよいのか、こういったことではないのかと思わざるをえません。

 

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Tracked on 2005.05.29 at 00:54

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