« 本当に平和を求めるのなら | Main | 自分のことは棚に上げても »

2005.05.06

どこを変えればいいのか

 アメリカの自動車業界は、「バカ」がつくほどの市場万能主義なのでしょうか。日本の経団連会長がアメリカの自動車産業へは支援が必要だといっている傍から、日本の為替介入を非難しています。

 米3大自動車メーカー(ビッグスリー)で構成する米自動車貿易政策評議会(ATPC)は、介入によって10円の円安になると自動車1台あたり6,000ドルの補助金が出たのと同じであるといっています。しかし、為替相場は介入だけによって変動するわけではありません。為替介入をやめた昨年3月以来、昨年5月の114円64銭の円安から12月の102円02銭の円高まで、実に12円の幅で動いています。介入がなくてもこれだけ動くわけですから、むしろ介入して100円程度に固定せよとでも言ったほうが良さそうなものなのに、言っているのは介入するなということだけです。

 政府や中央銀行による為替市場への介入は、一国の経済・金融政策の一手段として認められて構わないはずです。株式市場はいわば開いている市場で、企業が発展し続ける限り、長い目で見て相場が上昇という一方向へ進んで行って何ら構わないのですが、通貨の交換比率を決める外国為替市場は、閉じた市場とでもいうのでしょうか、一方向へ進むだけでは大変なことになってしまいます。ドル円関係で言えば、経済事情によって円高であるときもなければならないですし、円安のこともなければなりません。変動相場制である以上、市場の思惑で一方的に動きすぎることもあるでしょうが、その際は一国の通貨の問題ですから国が是正しなければなりません。ですから、株式市場への政府の介入は認められませんが、為替市場への介入は認められてしかるべきです。

 ドルが暴落すると、米国債の価値も暴落して多額の米国債を保有する日本政府の財政に影響がでます。それに、金利も急上昇して米国経済が停滞して世界的な不況に陥ることもありますから、これを防ぐための円安方向への為替介入は、日本の政府または中央銀行の判断で行うことは不当とはいえないでしょう。

 米自動車業界は為替介入反対と叫んで、自由主義経済を守るかのようなことを言っているように聞こえるのに対して、日本経団連会長は自主規制を思わせて、自由主義に反するかのような発言です。過去の日本車に対する態度を見れば、米自動車業界が自由主義的とはとてもいえないのですが、何かとても皮肉を感じます。

 米自動車業界は日本の政府の経済・金融政策手段に対する挑戦で、経団連会長は米国消費者の利益に対する挑戦です。どちらが正しいということはないのですが、製品のユーザーは政府よりも消費者です。どちらを敵に回したら怖いかは自明だと思います。もし消費者以上に業界や政府が怖いのであれば、それは自由主義市場でのプレーヤーとはいえず、そういった政府や業界を是正するよう働きかけるのが筋というものではないでしょうか。

|

« 本当に平和を求めるのなら | Main | 自分のことは棚に上げても »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64797/4003323

Listed below are links to weblogs that reference どこを変えればいいのか:

« 本当に平和を求めるのなら | Main | 自分のことは棚に上げても »