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2005.06.15

東証の自主規制機能分離について

 東京証券取引所が上場審査などの自主規制機能を分離するかどうかで金融庁ともめています。(NIKKEI NET)東証は上場企業が増えればそれだけ利益が上がるのですが、上場するのに適性かどうかを審査する機能も持っているために、自分の利益のために審査が甘くなりはしないかという懸念を金融庁から指摘されています。

 東証は審査を甘くするようなことをして市場の信頼を失えば、自らの首を絞めるのに等しいことなのだから、規制機能を分離させなくとも自分で自分を律することはできると主張しています。どちらの言い分ももっともだと思います。

 当初、金融庁が自主規制機能の分離を言い出したのが、粉飾決算をしたカネボウの上場廃止を東証が決めたときとタイミングを合わせて言い出していたので、カネボウの上場継続を求める金融庁の言うことを聞かない東証への嫌がらせとも受け取れたのですが、冷静に考えたみると市場のガバナンスに関する重要なことです。

 東証の言い分通りに運営されることが理想ではありますが、もし東証が市場の信頼を裏切ったときのことを考えると疑問が出てきます。というのは、信頼を裏切った東証を見限っても東証に代わる取引所があるかというと現状ではありません。東証を見限って別の取引所で取引することができなければ、結局また東証を使うより他ないということです。東証が悪いことをしてもそれに対するペナルティがないのです。

 投資家が東証にペナルティを与えようとした場合に唯一取れる道は、株式投資自体を止めることしかありません。ただ、一民間企業である東証のためにそうしてしまうと弊害のほうが大きく、そうなったときには国策として株式投資を推進する必要性が出てくるかもしれません。

 東証に匹敵するライバルがあるなら東証の言い分に賛成したいのですが、ライバルがいない現状では安易に賛成するわけにはいかないと考えざるを得ません。自主規制でいくならそれを担保する仕組みを明確に示さないと、どうも安心できません。

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