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2005.06.29

犯罪被害にみるクレジットカードとキャッシュカード

 クレジットカードの顧客情報が大量流出した問題が、世界中に波紋を広げていて日本でも大きく報道されています。大変大きな問題だとは思うのですが、ついこの間まで騒がれていたキャッシュカードの偽造問題とあわせて考えてみると、またちょっと違った見方ができるように思います。

 キャッシュカードの偽造のときに問題になったのが、被害の補償をどうするかということでした。当初、銀行は被害の補償に応じなかったことが批判を浴びて立法で銀行が補償することになりました。このとき比較に出されたのがクレジットカードで、クレジットカードの被害は顧客に負担させないのが原則なのに、サービス業である銀行は負担を顧客に回していてけしからんというものでした。私もそのように考えていましたが、「なりすまし」犯罪は何か対策が必要ではないかとも思っていました。

 今回の情報流出による被害で、「なりすまし」犯はまだ出ていないのか、出ていても結局カード会社が補償するから問題にはならないだけなのかは分かりませんが、報道はされていませんし問題視さえもされていないようです。キャッシュカードの偽造問題の議論で、被害の全額補償はかえって犯罪を助長するという意見もあり、個人的には「なるほどそうかもしれない」とも思ったのですが、今回の犯人は補償があるから犯罪を犯したのかどうかは分かりません。ただ、この期に乗じた「なりすまし」犯が出ないのなら、カード会社のように銀行も偽造カードの被害を積極的に補償して当然だろうと考えたくなります。

 でもそう単純に考えることはどうかと思います。今回の情報流出による国内の被害は、6月28日時点の経産省の発表では、745件で1億1,100万円に上るということです。一方、キャッシュカードの偽造による被害なのですが、日経ビジネスEXPRESSによると、昨年の上期で117件、4億6,800万円だということです。1つの事件による被害額と半年間の被害額を比較することに無理はあるかもしれませんが、あえて比較して1件あたりの被害額を計算してみますと、クレジットカードは約15万円ですが、キャッシュカードは400万円にもなります。

 クレジットカードでは、買い物をしてから換金するという手順が必要ですから、換金しやすいものを買うわけですが、それほど高額なものを1度に買うわけにも行きません。クレジットカードはこのような手間がかかるのに対して、キャッシュカードではATMからあるだけ引き出せばいいだけですから、犯罪の効率を考えるとキャッシュカードのほうが格段に効率のいい犯罪といえそうです。だからクレジットカードには「なりすまし」が出てこないのかもしれません。なりすましてもクレジットカードではせいぜい15万円の代金をごまかせるかどうかという程度では、犯罪を犯してまでのメリットとしては小さいといえそうです。犯罪者にしても、もしクレジットカードとキャッシュカードの両方に犯罪のチャンスがあったら、恐らくキャッシュカードを選ぶのだろうと想像できます。

 自分の身になって、利用者として考えてみると、被害にあったときに大きいのがキャッシュカードです。ということは、クレジットカードの被害よりもキャッシュカードの被害をより厚く補償してほしいと思うのですが、補償する側はクレジットカードなら補償しやすいけれど、キャッシュカードは額が大きくて補償するのは大変だということになるのでしょう。考えてみれば、クレジットカーの利用限度額は大抵40~50万円くらいで、ゴールドカードも200~300万円くらいなのではなかったかと思います。利用限度無制限というカードも中にはあるでしょうが、引出限度額があっても1日に100万円とほとんど無制限に近いキャッシュカードを考えれば、基本的にはクレジットカードの被害額がキャッシュカードの被害額より大きくならなくて当然といえそうです。

 キャッシュカードの偽造被害を銀行に補償させるのであれば、クレジットカード並みに利用限度額を引き下げることも、数年ごとにカードを更新することも必要かもしれませんし現にそのようなことが検討もされています。あとは年会費を払ってそれを被害のときに補償する保険料にするかどうかですが、キャッシュカードにそこまでの価値を見出せるかどうかはかなり難しいように思います。
 

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Tracked on 2005.06.30 at 02:51

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