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2005.06.24

日本がODAを増やすということは・・・

 6月22日の日経夕刊の「迷解迷答 現代けいざい学」というコラムに興味深い内容が書かれていました。「日本のODAはバブルか」という表題で、日本のODAと銀行の不良債権処理が似ているといいます。
 国連が先進国にODAを国民所得の0.7%にするよう求めている一方で、日本は現状0.2%程度で財政事情が厳しい中、さらに増やすことはなかなか大変です。とはいえ、日本のODAは04年の実績では実施額は161億ドルで前年比24.5%も増えているということです。でも、円借款の返済があり、回収分を差し引くと89億ドルとなり前年比0.2%の減少になるといいます。国連の目標額は純増額なので、回収以上に新規で実施していかないと目標からは離れていくばかりということなのです。

 この点が、貸し渋り批判を受けていた銀行に似ているといいます。
「必死に貸出先の開拓はしています。でもいくら新規融資を積み上げても、それ以上に返済が多いので貸出残高は伸びないのです」
これが貸し渋り批判に対する銀行の言い分でした。日本のODAが国連の目標に届かないのも同じ構造が見えるといわれるとその通りかもしれません。
 さらに銀行がバブル崩壊後、住専、ノンバンク、ゼネコンなどに対して債権放棄をしてきたように、最貧国といわれる国々は円借款が返せず、これらの国に対しては債権放棄せざるを得ません。この点も銀行とODAの類似点が見てとれます。

 コラムでは日本のODAが銀行の問題に似てしまうのは、他の先進国に比べてわが国のODAは無償援助より有償援助が多かったせいだと指摘しています。援助額を膨らませるには、無償よりも有償のほうが予算がつきやすかったためで、これまでの日本のODAはいわばバブルだったのではないかとこのコラムは疑問を投げかけていました。

 日本の過去のODAは、どの程度の計画を持って行ってきたのかは私もわかりません。ですから、今までのODAはバブルだったのではないかといわれればそういった側面を否定はできないのですが、バブルではなかったかという考えにはどうも素直に従うことができません。過去のODAが、無償よりも有償が多かった理由はよく分かりませんが、ODAの実施額が昨年時点でも増えているにもかかわらず、それ以上に返済があるということは、過去のODAが有効だった証拠ではないかと考えられます。日本は銀行のように貸し剥がしをしているわけではありませんから、有償のODAが返済されるということは、資金が有効に使われて途上国が返済できるまでに発展したということです。もし、ODAの対象国の多くが最貧国のように円借款の返済さえもできないとすると、過去のODAは有効に使われずいまだに貧しいままということがいえます。けれども、そうなら今も日本のODAは世界一の金額が計上されているはずです。国民総所得の0.7%も楽にクリアしていると思われます。

 日本のODAは貸し渋りの銀行とは違いますから、現状の構造ではそれほど増えないほうがむしろいい世の中ではないかと思えてきます。100万ドルのODAを返済した国に、再び100万ドルかあるいは必要であれば200万ドルを援助することは有意義なことです。でも、一番いいのは当初の100万ドルを返済して、もう援助を受ける必要がなくなること、すなわち援助なしでも自立してやっていけることのはずです。それこそ日本国は最近の銀行ではないのですから、いらないという国に円借款を借りてくれというのは筋違いです。さらに、100万ドルの円借款が返せない国があれば、有償を無償に切り替えて銀行でいう債権放棄もいいでしょう。問題は、100万ドルが返せないだけではなく、さらに100万ドルの援助が必要な国をどうするかです。ODAの数字を増やすことだけを考えると、このような国は歓迎したくなりますが、事態が一層深刻化しているからODAが増えるのです。

 日本のODAが増えるということは、けっして世の中が良くなることではありません。むしろその逆です。もし、国連安保理の常任理事国入りのためにODAを増やそうとするなら、それは世界に対する反逆行為でさえあると私は思います。

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