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2005.08.04

多数決の限界

 中国海洋石油(CNOOC)が米石油大手ユノカルの買収を断念したという日経の記事を見て、正直ホッとしました。経済活動に議会が反対して抑制するということ自体は好ましいとは思いませんが、国をバックにした中国企業が中国の国策に基づいての買収は、傍から見ていても到底公正さを欠いたものと思います。ただ、6月にCNOOCがユノカルの買収を提案してきたときに、先に買収を提案していたシェブロンよりも高い金額だったことから、どうなることかとハラハラしていました。

 ニッポン放送の騒動のときによく言われていた「レブロン基準」によれば、

「経営者は会社をいったん売りに出すと決めたら、高い値段の相手に売る義務がある」

ということですから、ユノカルもシェブロンに売却を決めていたところで、CNOOCからそれより高い金額提示があったわけですからレブロン基準ではCNOOCに売却しなければならないことになってしまうところですが、米議会の賢明な判断でそれは回避できたということでしょう。

 そもそも85年のレブロン訴訟では、レブロンという会社の経営陣が敵対的買収を回避するために友好的な相手に安く会社を売却することを決めてしまって、それをさせないための裁判所の判断ですから、これを基準としてあらゆる場合に適用させようとすること自体無理があるように思います。株主の利益を考えれば買収価格は高いほうがいいということでしょうが、買収価格が高くなって利益を得るのはその価格で売却した株主であって、買収者が経営権を手にした時点の株主ではありません。買収者が経営権を握ることが確実なら、買収者の経営方針に反対する株主ほどトットと持株を売却して利益を手にしたいと考えるでしょうが、その結果株式の過半数を握った経営者が株主の支持を得たといえるのか非常に疑問に思います。

 株式会社の仕組み上、株式による多数決を無視するわけにはいきません。しかし、多数決が必ずしもいい結果を生み出すわけではないことがわかっているからこそ、経営権にかかるような株式取得は公開買付によって株主以外のステークホルダーにも状況をオープンにしようとしているのではないでしょうか。一企業の経営権の問題でも、一国のエネルギー政策に係わる影響があるのであれば、多数決の原則を曲げることも必要なのだと思います。これを濫用することはもちろん危険ではありますが、多数決の濫用も同様に危険であることを見逃してはいけないと思います。

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