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2005.11.29

看板と実質

 民主党の西村真悟衆議院議員の逮捕は非常に残念です。時には暴走かとも思えるくらいのハッキリした言動は、ハラハラしながらも好感を持っていました。今回の容疑は弁護士法違反ということですが、西村議員の持つ弁護士資格が、内容の伴わない看板だけのものになってしまって、それでもそこから収益を得ていたことは、仮にそれが政治活動のためだとしても許されることではありません。

 それにしても、先に逮捕された非弁活動をしていた鈴木容疑者、この人は看板がないのに実質的に弁護士の活動をやっていたということですが、交通事故という限られた分野にせよ弁護士の業務を行えてしまうということの意味を考えると興味深いものがあります。医師や弁護士、公認会計士など、専門業務を独占している専門家は、ただ能力があるからだけでそのメリットが与えられているわけではないようです。能力があるだけなら、鈴木容疑者のように弁護士業務の特定の分野に限っては、本職の専門家よりも能力があるという“非”専門家も世の中には数多くいるはずです。このような“非”専門家を排除する理由は何でしょうか。

 多分、あまりにも狭い領域だけの能力では現実世界の多様な動きについていけないからなのかもしれません。交通事故の処理であっても、揉め事の背景にはさまざまな要素が絡み合っていることもあるでしょうし、依頼人自身も自覚していないニーズに気がついて、それを引き出して解決することも専門家には必要なことだと思います。

 いま、大きな問題になっている建物の強度の偽装事件も、1級建築士という専門家が、目の前の仕事のコスト削減や目先の自分の収入といった程度の視野しか持たなかったことが大きな原因のようです。そしてこんな建築士を使った設計事務所も、建設会社も、さらには審査をして建築確認をおろした業者も責任は免れませんし、何よりも欠陥マンションの購入者に直接責任を負うのはそれを販売した不動産会社です。それぞれがプロとして営業して利益を上げているわけですから、責任はキッチリ負うべきです。住民の安全を第一に考えなければなりませんが、間違ってもこれらのプロの業者のために私たちの税金が使われるようなことになれば、到底納得しがたいものを感じます。

 プロフェッショナル、専門家として看板を揚げたなら、中身の実質が伴わないようなことだけはあってはいけません。実質が伴わなくなったなら、速やかに看板を降ろしてもらうことが必要です。 看板と実質が遊離しては、世の中が混乱するだけです。

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Tracked on 2005.11.30 at 17:31

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