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2005.11.09

皇室典範有識者会議への疑問

 皇室典範に関する有識者会議というのは、女系での皇位継承を認めようとしたり、男女関係なく第一子優先など、どうもかなりラディカルな乱暴な有識者たちが集まった会議のように感じられます。天皇家の存在をどう捉えるか、恐らく私も含めて多くの国民のあいだには、漠然とした憲法上の「象徴」という言葉、せいぜいもう少し詳しく言って「国民統合の象徴」というまったくぼんやりした概念でしかないのかもしれません。ですから、ここであの有識者会議の、伝統の安易な変更に異議を唱えても、中味のない空言になってしまうかもしれません。ただ、それでも、皇室は日本という国の背骨みたいなもので、畏れ敬うつもりはありませんが、わが国の国民みんなの伝統を体現している存在として、これを安易に取り扱うことにはどうしても違和感が拭えません。

 先日、東京競馬場で行われた天皇賞に、天皇皇后両陛下がお越しになりました。ターフビジョンに両陛下が手を振る場面が映し出されたときに、私の近くにいた人がこんなことを言いました。 「天ちゃん、どの馬から買ったの?教えて~」
陛下が馬券を買うとは思えませんが、もし買ったのならそれはどんな馬券なのか知りたいと私も思います。その人もほんの冗談で言ったに過ぎないことはわかります。それでも、それはおおっぴらに言うことではないだろうという気はします。もしそれが不敬罪だなどと言われるような世の中であれば、それはそれで困ったことだとは思いますが、良識として公共の場であまりにも見識に欠けることは言わないことがエチケットだと思います。

 あの有識者会議は、期限のある中で答申を出すためとはいえ、私にはあまりにも拙速すぎて見識に欠けるような印象を否定できません。考え方として、女系天皇や第一子優先などありうるとは思います。ただ、答申の提出期限に間に合わせるため、それだけにすぎないような気がしてなりません。新聞やテレビなどの報道からですが、深い議論がなされた形跡があまりにも見えてきません。

 皇統の安定した継続のためには、女系も認めたほうがいいのでしょう。第一子優先にすれば、承継順位もすっきりしたものになるでしょう。しかし、それだけでいいのでしょうか。ただ皇位がつながればいいのではなく、国民的合意も必要なのですから、いろいろな面から深く考察してほしいと思います。「有識者」会議なのですから。

 私は、皇太子殿下のつぎの皇位がどのように継承されようと、愛子さまもしくは秋篠宮家の内親王様方のどなたかが、旧宮家の男性とご結婚されるのがいいのだろうと思っています。男系で承継された場合に、旧宮家の男性は、一般人からいきなり天皇となるわけですから、結婚相手は皇族であったほうが本人にとっても、またその次の皇太子にとってもいいだろうと考えます。また、女性天皇を認めてさらに女系で承継する場合でも、女性天皇の配偶者(=皇配)はまったくの一般人よりは旧宮家のほうが国民も受け入れやすいように思います。皇室典範がどうなろうと、そうなればいいなあと勝手に思っています。

 ところで、仮に女系での皇位の継承を認めるように法改正が行われたとしても、女性天皇の配偶者が男系である旧宮家の方であれば、とりあえずは男系は継続することになります。2千年近く続いてきた男系での承継を捨て去ることはそう簡単ではないと思います。先ごろ報道された三笠宮殿下の私見にもあるように、皇室自体にも伝統への愛着があれば女性天皇の配偶者を安易には決められない状況が起こりうることは容易に想像できます。

 例えば、愛子さまがご結婚相手を選ぶときに、自発的に旧宮家の男性を選べば問題はありませんが、もしそうではなかったときに、ご結婚相手に関して愛子さまにプレッシャーがかかるのではないかと憂慮します。女系による承継を認めたうえで、皇位継承者たる内親王様が旧宮家以外からお相手を選べば男系による天皇は確実に途絶えます。これには現時点では相当な抵抗が予想されます。男系のままにした上で、場合によっては養子などを認めるならば、旧宮家以外の男性をお相手に選んでも男系は途絶えることはありません。すなわち、抵抗も比較的に少ないだろうと考えられます。

 私は、内親王様が旧宮家の男性とご結婚することは望ましいとは思いますが、無理強いしてまではどんなものかという気がしてなりません。天皇は国民の意思によるものですから、時によっては自分の結婚にも制約があるものかもしれませんが、あまり強引なことをすることは国民の意思ではないはずです。強引なことをしないためにも、女系による承継を認めることは果たしていいことなのかどうか、有識者といわれる人たちはどこまで考え議論したのか、甚だ疑問に感じています。

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