« 北も南も | Main | 本音で接すればいいのでは »

2006.07.27

どこに住もうが自由だけれど

夏休みに入って、日中に子どもたちの姿を見かけることが多くなりました。せっかくの夏休みなのに関東ではまだ梅雨が明けず、子どもたちには気の毒な気もします。夏は子どもの頃を思い出させてくれる季節のような気もします。童心に返るためというわけではありませんが、いまハリー・ポッターの第6巻目を読んでいるところです。

ハリー・ポッターの翻訳者が申告漏れを指摘されていたそうですが、なかなか考えさせられるものだと思います。税金を払う先の国を個人が選ぶことができるということは、悪いことではありません。いろいろと問題も出てくるでしょうが、まず平和でなければこんなことはできません。いくら税率が安くても、イラクやイスラエル、レバノンのような戦争をしているあるいは戦争にならなくとも紛争のある国に居住して税金を納めることはきわめて困難ですから、お金持ちが節税目的でどこの国を居住地にしようか選べること自体、その国の周辺の平和は保たれていると言えるでしょう。

また、国も選ばれるために効率的な政府にして、サービスの質を充実させて税率を低く抑えられるように努力するはずですし、経済や芸術、スポーツなどの活動をしやすくして、能力ある人がこの国で活動をしたいと思われるような環境を整えようとすることでしょう。そのようなことを考えますと、いち早くハリーポッターシリーズの面白さを理解してその版権を獲得した松岡さんの才能はたいしたものだと思いますし、スイスに居住してそこで税金を払いたいというのなら、極力本人の希望はかなえてあげたいとは思います。思いますが、ちょっと釈然としない気持ちもあります。

実際に居住地はスイスと認められるのか、国税局の言うように頻繁に帰国して実質的な居住地は国内とみなすのが妥当なのかはわかりません。ただ、どこで翻訳をしようと、英語で書かれた本を日本語に訳してその本が売れて儲かったわけですから、その儲けの多くは日本の読者によってもたらされたものといっていいはずです。翻訳するには日本よりスイスの方がいい環境だったとしても、住民税や社会保険料は別ですが、所得税は日本で全額払っても良さそうな気もします。

長者番付はなくなってしまいましたが、時々音楽関係者で昨年までは番付のトップにいたのに、急に名前が載らなくなる人がいました。別に売れなくなったわけではなく、その人のCDは相変わらず売れているのに納税額が減ることがありました。何のことはありません、活動の拠点をNYに移したなどと格好のいいことを言って、節税対策をしているだけです。東京でレコーディングするよりニューヨークでレコーディングした方がいいのかもしれませんが、ニューヨークでレコーディングするための機材のほとんどは日本製かもしれませんし、スタッフは外国の腕のいい人たちとはいってもその人たちとコミュニケーションをとるために日本からもスタッフに来てもらったりしていたりします。そしてできた作品は現地ではまったく売れず、ひたすら日本に向けて販売することを前提に製作されています。

イチローや松井が大リーグで稼いだ報酬は、当然アメリカで納税していることと思います。日本のCMに出て収入を得ても、大リーグでの活躍があってこその収入ですから、アメリカで納税することに違和感は感じません。また、ローマに関する著作で知られるイタリア在住の塩野七生氏は、その著作は日本で売れて収入を得ていても現在の居住地はイタリアでしょうし、イタリアで納税していてもこちらも違和感はありません。

さて、ハリー・ポッターの松岡さんは、源泉徴収で20%は日本で納税しているということです。日本に居住していれば税率は37%です。恐らくスイスの所得税率は30%くらいで、日本で源泉徴収された20%を控除して、10%くらいをスイスで納めているのだろうと想像できます。多分支払った税額はスイスより日本の方が多いのだろうと思います。どこを居住地とするかは本人の自由だろうとは思いますが、日本人としてなぜスイスの方がいいのか、松岡さんに聞いてみたいという気はします。

|

« 北も南も | Main | 本音で接すればいいのでは »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/64797/11110671

Listed below are links to weblogs that reference どこに住もうが自由だけれど :

« 北も南も | Main | 本音で接すればいいのでは »