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2007.09.18

格差是正とはいうものの

 奨学金の返済で滞納額が2千億円を超え、この7年で倍増したといいます。(奨学金滞納、2000億円超す・06年度)貸出総額は4兆7243億円に上るということなので、滞納率は4%強、10~15%になるサブプライムローンの延滞率よりはマシですが、けっして褒められたことではありません。

 滞納の原因について、報道によると

給食費や保育料などの滞納と同じく、利用者のモラルが低下していることが一因とみられる。

とあります。今日の朝日新聞には、保育料について払わないのではなく払えない人もいるという主旨の記事が出ていました。ただ、あまりに重箱の隅をつつくような、特殊なケースを引っ張り出して払えない人もいるんだと言っているような印象は拭えません。

 私も20年ほど前に、育英会の無利子の奨学金を受けていました。これらの記事を見て、そういえばと思って引き出しの中を探してみたら、奨学生手帳が出てきました。大学に入学した頃の、まだ10代の自分の写真が貼ってあって、20年も経つとずい分とくたびれるものだなと思いました。初々しいのは自分の顔だけではなく、その手帳自体もまだきれいです。手帳といっても、奨学金の支給や返済についての規則が書かれているだけのものでしたから、学生の頃からほとんど開いてみたこともなかったことを思い出しました。いま見て見ると、返済が困難になった場合は申し出によって返済を猶予できるといったことが書いてあったりして、「払わないのではなく払えないのならちゃんと手続きをとるべきだよな」などと思ったりします。

 それから自分が受けていた奨学金の額も出ていました。「そういえばそうだ、毎月31000円だったなあ。」などと懐かしく思い出します。この金額を大学1年の7月から卒業まで、合計45ヵ月間支給されていましたから、総額139万5千円を貸与されていたことになります。就職してから数年は、毎回10万円に近かったように思いますが、毎年返済していました。当時は一括して繰り上げて返済すると、繰り上げた金額の1割が戻ってくるという制度がありましたので、ある程度の蓄えができた時点で一括して返済してしまいました。無利子で貸してくれたうえに、約1割ほど負けてくれるのですから「ありがたいな」と思ったのを憶えています。

 格差是正ということが言われますが、教育機会の不均衡は重大な格差であろうと思います。その対策として奨学金制度の充実は大切なはずなのですが、返済の滞納で税金を使わざるを得ず、奨学金事業そのものの見直しを検討せざるを得ない状況だということです。格差是正を求めるのも国民なら、格差是正のための制度を喰い物にしているのも我々国民です。奨学金の返済を滞納したり、給食費や保育料を払わない人は、みんなで支えあうための制度をないがしろにするという意味で、年金保険料を横領する役人と変わるところはありません。盗っ人は牢屋へ入るべきですし、そういう盗っ人は何も年金の周りにばかりいるわけではありません。格差是正を本気で求めるのなら、盗っ人を牢屋へ入れることから始めたほうがいいのではないでしょうか。

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