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2007.10.01

そんなに暴論とは思えない

 鳩山法相の「署名なし死刑」発言に批判がありますが、それほど批判されるような発言なのでしょうか。毎日新聞では社説で暴論扱いをしていますが、どうも的外れな感じがします。

刑事訴訟法が死刑執行は法相の命令による、と定めているだけでなく、法務省が管轄する拘置所が死刑囚を拘置し、検事や刑務官らが執行に携わっている。

だから法務省のトップである法相の責任を曖昧にすることは許されないと、毎日新聞の社説は言いますが、刑事訴訟法は死刑の執行は6ヵ月以内と定めているにもかかわらず、それが守られていない現状をどうするのかということは全く触れていません。一方では法律を持ち出して法相の発言を批判しながら、その同じ法律が守られない現状を無視してしまっています。

死刑執行命令書の作成に先立って、法務省刑事局が確定判決の資料を司法判断とは別に精査し、執行の可否を決定していることも忘れてはならない。

毎日の社説はこうも言っています。しかし、“司法判断とは別に精査”するようなことは、刑事訴訟法は求めていません。確かに、死刑囚が心神喪失状態にあるとか懐妊しているなど、外形的に死刑の執行が適当ではないかどうかといったことは確認すべきでしょうが、もし裁判の内容にまで踏み込んで記録を再度精査しているというのであれば、それは必要ないことですし、言い方がキツイかもしれませんが無駄なことです。第一、行政府の法務省は司法府の裁判所を信用していないということにもなります。

 死刑制度にはその賛否についていろいろな意見があり、死刑の執行に責任を持つ法務大臣が悩むのはある意味当然のことです。就任早々に「死刑執行のサインをしない」と発言する大臣に比べれば、鳩山法相はよほど真摯なのではないかと思います。

 今度の鳩山法相の発言を“法相としては不用意で致命的な失言”という毎日新聞の社説のような意見は、一方的な見解の押し付けであり、むしろ改めて死刑制度について論議するいい機会と捉えるべきではないかと思います。10月から再開される国会で、法相の進退などといった問題の矮小化だけは避けて欲しいものです。

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