2010.04.15

思ったよりも深刻

ワシントンポストが、核セキュリティーサミットの最大の敗者として日本の鳩山首相を挙げています。

「オバマ大統領との首脳会談を要望したものの果たせず、夕食会で非公式の首脳会談を行っただけだった」

ということにとどまらず、アメリカのオバマ大統領が提唱した会議であるにもかかわらず、同盟国である日本の総理大臣が、まともに相手にされないというのは、由々しきことだといえます。唯一の被爆国であり、IAEA(国際原子力機関)に事務局長を輩出している日本の、代表である首相の存在感が薄く、2年後の次回サミットは日本の広島や長崎ではなく、韓国で開催することが決まって、リベラルで左翼の社民党と連立を組む鳩山首相にとってはダメージが大きいのではないかと思います。

今年は日米安保条約が締結されて50年ですが、日米同盟をどうするのかなんてことを議論するような雰囲気でもありません。50年といえば終戦後50年の1995年も左翼を取り込んだ自社さの連立政権でした。この年の村山内閣は、1月の阪神大震災への対応の遅れを批判され、オウム真理教にサリン事件を起こされ、警察庁長官が狙撃されたにもかかわらず、その事件が今年時効になっています。この村山内閣で運輸大臣だったのが、亀井静香金融・郵政改革担当大臣です。鳩山首相と菅直人副総理兼財務相は連立を組む新党さきがけの主要メンバーでした。

普天間問題は、多分この内閣では解決できないだろうと思います。というより、問題を作って大きくして、このあとどうするつもりなのか不思議でさえあります。鳩山内閣後にどう決着するのか、普天間問題はそういう話なのだろうと思います。

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2008.02.07

改善へ向けて

 冷凍食品を食べることが怖くなったギョーザ中毒事件shockですが、ニュースを見ていて思ったことがあります。問題の餃子を生産した天洋食品という中国企業、最初に事件を聞いて想像していたよりきれいな工場だということです。

 昨年のダンボール肉まんを作っていたとされる店の映像がまだ記憶に残っていたせいか、毒物が混じるような工場ですから、管理の行き届かない汚い工場を想像していました。しかし、テレビで見る限りとても衛生的で、言われなければ日本の一流企業の工場と遜色ないように見えます。eye日本政府の調査団も「清潔な印象」といっていますし、中国国内はもちろん、日本側の求める水準は満たしているのだろうと思います。

 それだけに天洋食品の当事者は信じられなかったのでしょうし(製造元「証拠があるのか」)、おそらく中国の人たちも中国側に責任があるとは思いたくないのでしょう。(ギョーザ中毒事件は「日本の陰謀」 中国ネット世論

 実際にはまだ調査中ですから、とにかく早く真相が明らかになることを望みますが、報道を見る限りでは、製造段階がやはり怪しいと思いますし、人為的な犯罪である可能性が強いようにも感じます。同時に、天洋食品をはじめとする中国側の対応にも注目しています。仮に何らかの理由で毒物を混入した犯人が明らかになり、天洋食品自体の責任ではないことが判明しても、天洋食品への恨みが動機であれば今後はそうした恨みを買わないよう改善してもらわなければなりません。また、天洋食品への恨みではなく全く偶然に同社の製品にばかり毒物が混入されてしまったのだとしても、今後はそういうことのないように流通経路等を改善をしてもらわなければなりません。

 法律上は自社に責任はなくても、経済的にダメージを受けることはあります。これを乗り越えて日本に食品restaurantを提供できるのかどうか。提供して欲しいのですが、それができる企業か、そしてそれができる国なのか、この点に注目しています。

 一方で、日本国内の反応にも注意すべき点はあると思います。今回の事件で改めてわが国の食糧自給率の低さが認識されましたが、これを誤った方法で改善するような意見が勢力をもたないことを望みます。

 自給率上げようとすることは正しいことだと思いますが、それは農業や食品の製造業の競争力を強くすることであって、こうした産業に税金や補助金yenをバラ撒くことではありません。懸念するような論調をまだ目にしていないので今のところ安心していますが、airplane空港管理会社への外資規制などという話が持ち上がるようでは安心はできません。

 安全保障上の必要があるなら、平時の出資を規制するのではなく、いざというときに私権を制限することを予めルールとして決めておくことこそ、政府がやるべきことです。こうしたルールは株主が外国人であろうと日本人であろうと区別するものではありません。そういうことが公正とか平等ということであり、日本国内における国際化なのだろうと思います。

 食品の安全も、軍事的な安全保障に劣らないくらい重要です。それだけに不合理な規制がまかり通ってしまうこともあるかもしれません。中国を見るのと同じくらい厳しい視線で、わが国内部の守旧派を監視する必要があると思います。

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2008.01.15

誇るだけではなくて

 日経新聞の夕刊に、「あすへの話題」というコラム欄があります。曜日ごとに様々な分野の人が執筆していているのですが、今年から金曜日は防衛大学校長の五百旗頭真氏が担当していて、先週の金曜日、11日もそのコラムを拝読しました。

 「富の格差」というタイトルで、産業革命以来、世界的に工業化の進展と富の格差は、通常コインの表裏であるのだが、戦後日本は稀な例外で、日本人は「格差の少ない豊かさ」という歴史の例外を生み出したことにもっと誇りをもってよいと思う、という内容でした。

 確かに「格差の少ない豊かさ」を実現して、世界でもトップクラスの経済大国にまでなったことは誇るべきことですが、それを生み出してきた理由として五百旗頭氏があげているのを読むと、単純の誇っているだけでいいものかどうか疑問に思えてきます。

 五百旗頭氏があげている理由は次の3点です。

①累進所得税
 松下幸之助も司馬遼太郎も、所得の75%が税に取られると苦笑していた。国による所得再分配は、戦後日本にあって大規模であった。

②春闘方式
 トップ企業の労使が徹夜交渉の末、ベースアップ率を合意すると、それに準じて他の企業もストを打つことなくアップ率を決めた。中小企業の労働者も毎年の所得上昇を得た。

③保守政権による農家への手厚い保護政策
 世界に常である工業化に伴う農家の貧困化は、戦後日本に生じなかった。

この3点は、「格差の少ない豊かさ」をもたらした要因であることは、確かにそうなのだろうと思います。しかし、今後も「格差の少ない豊かさ」を継続していきたいと思うのであれば、この3点は誇ることではなく、むしろ克服しなくてはならないことと自覚する必要があると思います。

 累進課税は最高税率が75%から40%へとずい分緩和されましたが、最近の格差是正の掛け声の下、再び税率を引き上げることがあれば、能力のある人のやる気をなくすだけです。松下幸之助も司馬遼太郎もただ苦笑いしていただけではなく、やる気をなくさせるような、足を引っ張る税制にウンザリするからこそ“苦笑い”していたのではないでしょうか。

 春闘方式によって、中小企業の賃金までトップ企業に準じて引き上げたために、中小企業の経営難が常態化してしまい、優れた技術力があってもいまだに弱い立場におかれています。農家への手厚い保護政策も、それがために国際競争力を奪った側面は無視できません。

 こうして見ると、「格差の少ない豊かさ」を実現したこと自体は誇っていいと思いますが、それを実現する過程では必ずしも誇れることばかりではなく、むしろそれが現在の格差の原因になってもいることに目を向けなければなりません。五百旗頭氏のコラムを読んでいると、「格差の少ない豊かさ」を実現した要因であるにせよ、改善すべき旧体制の遺物への郷愁を美化していると感じてしまうのですが、そんなことで過去の栄光を誇ってもあまり意味のあることとは思えません。

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2008.01.11

温暖化対策のためとはいえ

 10日の日経新聞で、温暖化対策 途上国に1兆円支援 首相が表明へ 「ポスト京都」参加促すという見出しで、温暖化防止へ向けて途上国へ無償資金協力や円借款などを供与すると報じられていました。温暖化対策のイニシアティブをとることは、とてもいいことだと思うのですが、温暖化対策では日本に見返りがあるようなシステムを早く構築して欲しいと思います。

 こういうと「世界的な危機である温暖化対策で金儲けをするとはけしからん」と言われそうですが、温暖化対策を継続していくためには、温暖化に対して効果的な技術やシステムが収益を生む必要があります。日本が途上国に1兆円の支援をするにしても、その1兆円を日本が稼ぐために、温暖化の原因である二酸化炭素などの排出をしていては意味がありません。温暖化対策自体が収益を生み、その収益を途上国の温暖化対策に役立つように還流させてこそ、意味のある支援であり世界的な対策になりうるはずです。

 そのような観点から、排出権取引というのは有効に活用されるべきでしょうし、さらには排出権を創り出す環境技術は高い価値を見出されてしかるべきだと思います。

 世界的な危機である温暖化であればこそ、その対策に関する技術は価値が高いはずです。多くの場合、人はタダで手に入れたものは大切にしません。ですから温暖化対策に関する技術を、誰もがタダで使えるようにすることはいいことだとは思えません。価値はなにも金銭だけで計る必要なありませんが、価値あるものを貶めるようなことをしていると、結局はそれを無駄にして、温暖化対策に使えなくなってしまうような気がします。

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2007.11.13

今こそ対案を望む

 NHKの調査によりますと、

さきに福田総理大臣が民主党の小沢代表との党首会談で連立政権を組むことを打診したことについて、「大いに評価する」が10%、「ある程度評価する」が36%だったのに対し、「あまり評価しない」が27%、「まったく評価しない」が21%でした。

大連立を評価する割合が合計で47%、評価しないは48%と拮抗しています。

民主党が連立政権を組むことを拒否したことについて、「大いに評価する」が20%、「ある程度評価する」が29%だったのに対し、「あまり評価しない」が30%、「まったく評価しない」が14%でした。

民主党が大連立を拒否したことを評価する割合が合計で49%、評価しないは44%。こちらも拮抗しているといえそうです。

日経の調査によりますと、大連立を「評価する」は27%にとどまり、「評価しない」が55%に上っていますから、NHKの調査だけで大連立への賛否は半々に割れているとは言えませんが、NHKの結果は私自身の実感に近いものがあります。

 11月2日の夜に大連立のニュースが流れたときの第一印象は、確かに違和感というものでしたが、11月4日の小沢氏の代表辞任の会見を見て、自民党にとっても民主党にとっても大連立というのは政策実現の1つの方法だったのかと納得できました。もっとも小沢氏の言うような、自衛隊の海外派遣について政府見解を大きく変え、給油新法の成立にもこだわらないという条件での大連立なら、私は反対ですが。

 衆参のねじれの中での政策実現の方法は、大連立だけというわけではないでしょうが、これに反対をした民主党は代替案を提示すべきではないかと思います。自民党には最終的に衆議院の3分の2で再可決という手段があります。そういう手段を持たない民主党が政策をどう実現するのか、明らかにしなければ無責任の誹りは免れません。

 衆議院を解散に追い込んで、総選挙で勝って政権をとってから政策を実現させるというのかもしれませんが、それは解散するまでは与党の3分の2での再可決を認めるということか、そうでなければ衆議院の任期満了まで最大2年間は国会を機能させないというに等しくなります。解散に追い込むという名目はあるとはいえ、反対のための反対をするようでは、無責任であり政権担当能力が疑われます。

 与党が衆議院の3分の2を使わなくとも国会が機能するような枠組みができれば、福田政権も解散をしやすくなります。なぜなら、仮に次の総選挙で与党が3分の2までいかなくとも、過半数を取れば引き続き政権を担当しながら、ねじれ国会の中でも何とか議会運営ができると考えられるからです。現実にはそう思わせておいて、選挙では民主党が過半数を取ればいいわけです。

 次の衆議院選挙で与党が過半数を取ってもねじれ現象は変わらず、国会運営が行き詰ることが見えているなら、そう簡単には衆議院を解散などしないはずですし、それが国民への責任と今の政権が考えても無理はありません。ここはひとつ、譲歩すべきところは譲歩してでもアイデアを出して、自民・民主双方の政策実現を図れる枠組みを作り、福田政権が安心して解散できる状況を作り出すことが賢いやり方だと思います。大連立に代わる対案を望みます。

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2007.10.18

年金着服、真の被害者は

 市町村職員による国民年金保険料などに着服問題で、犯人を告発しない自治体には納得できないものを感じます。舛添厚労相の指示で社会保険庁が自治体に代わって告発したことは当然であり、妥当な措置だと思います。これに対して、宮城県大崎市伊藤康志市長は、「自治の侵害」として不快感を表したといいますが、問題の捉え方が違うと思います。

 伊藤市長は、着服した元職員は懲戒免職にしており、「懲戒免職は十分に厳しい処分だったと思う。旧田尻町の町民には理解を得られている。」と述べているといいます。しかし、懲戒免職が厳しい処分なのかどうかを市長が決めることではありませんし、内輪で厳しい処分が行われればそれでいいというものではありません。それに旧田尻町民の理解を得られたとしても、それだけの問題ではないはずです。

 公的年金の保険料が着服された場合、実質的な被害者は誰なのでしょうか。第一義的には着服された保険料を支払った旧田尻町民の方々といえるでしょう。しかし、今回は着服をした元職員は旧田尻町の領収書を盗んで発行していたといいます。もし着服事件が発覚しなかったとしても、正式な領収書があれば旧田尻町民の方々が未納扱いにされることはないだろうと思われます。

 では他に被害者になりうるのは誰でしょうか。公的年金は世代間扶養の考え方に基づいて、賦課方式で運営されています。いま支払った保険料は、いま受給している人々の年金原資になります。その保険料を着服したとなると、現在の年金受給者が被害者といえそうです。しかしすでに年金を受給している人は、よほどのことがない限り現行法で決まった受給額が減ることはありません。そうすると年金受給者に不利益が及ぶことはなさそうです。

 そうすると、年金保険料の着服による被害者は、トータルで年金財政の収支バランスを崩して将来の年金受給額を引き下げるということで、これから年金を受給する現役世代の人々、さらに将来の国民ということになると考えられます。

 これから年金を受給するという意味では、旧田尻町民の人々も被害者ではありますが、彼らが被害者のすべてではありません。他の多くの被害者たる国民に何の断りもなく告発をしないという姿勢は、まさに内向きで内輪だけにしか通用しないものです。地方自治体の業務とはいえ、地域を越えて多くの国民に関わりのある公務もあるはずです。それなりの責任感が必要だと思います。

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2007.10.09

ふるさと納税の効用

 総務省のふるさと納税研究会による報告書がまとめられ、総務大臣に提出されました。(ふるさと納税、研究会が報告書提出 NIKKEI NET)ふるさと等自分の選んだ自治体へ寄付をして、寄付をした金額を支払うべき住民税から差し引けるという税額控除方式ですが、納税先を選ぶことができるというのは画期的なことだと思います。

 先日、年金保険料を着服した職員を告発しないという自治体が相次ぎました。(NIKKEI NET)着服した保険料は返還しているとか、社会的制裁を受けているとか、犯罪の現場での事情や判断があるのだろうと思います。それがどのようなものなのか、私にはよく理解できませんが、公的年金の保険料は各自治体の問題ではなく、日本国全体の問題です。

 ふるさと納税制度ができて、寄付金の額の増減を見ていれば、このような問題が生じたときに外からの視点を、各自治体に知らせる効用もあるのだろうと思います。ふるさと納税制度は、地方の格差是正には効果がないと言われます。その通りだと思います。でも、ふるさと納税制度の効用は、格差是正に限らないのだろうと思います。

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2007.10.01

そんなに暴論とは思えない

 鳩山法相の「署名なし死刑」発言に批判がありますが、それほど批判されるような発言なのでしょうか。毎日新聞では社説で暴論扱いをしていますが、どうも的外れな感じがします。

刑事訴訟法が死刑執行は法相の命令による、と定めているだけでなく、法務省が管轄する拘置所が死刑囚を拘置し、検事や刑務官らが執行に携わっている。

だから法務省のトップである法相の責任を曖昧にすることは許されないと、毎日新聞の社説は言いますが、刑事訴訟法は死刑の執行は6ヵ月以内と定めているにもかかわらず、それが守られていない現状をどうするのかということは全く触れていません。一方では法律を持ち出して法相の発言を批判しながら、その同じ法律が守られない現状を無視してしまっています。

死刑執行命令書の作成に先立って、法務省刑事局が確定判決の資料を司法判断とは別に精査し、執行の可否を決定していることも忘れてはならない。

毎日の社説はこうも言っています。しかし、“司法判断とは別に精査”するようなことは、刑事訴訟法は求めていません。確かに、死刑囚が心神喪失状態にあるとか懐妊しているなど、外形的に死刑の執行が適当ではないかどうかといったことは確認すべきでしょうが、もし裁判の内容にまで踏み込んで記録を再度精査しているというのであれば、それは必要ないことですし、言い方がキツイかもしれませんが無駄なことです。第一、行政府の法務省は司法府の裁判所を信用していないということにもなります。

 死刑制度にはその賛否についていろいろな意見があり、死刑の執行に責任を持つ法務大臣が悩むのはある意味当然のことです。就任早々に「死刑執行のサインをしない」と発言する大臣に比べれば、鳩山法相はよほど真摯なのではないかと思います。

 今度の鳩山法相の発言を“法相としては不用意で致命的な失言”という毎日新聞の社説のような意見は、一方的な見解の押し付けであり、むしろ改めて死刑制度について論議するいい機会と捉えるべきではないかと思います。10月から再開される国会で、法相の進退などといった問題の矮小化だけは避けて欲しいものです。

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2007.09.18

格差是正とはいうものの

 奨学金の返済で滞納額が2千億円を超え、この7年で倍増したといいます。(奨学金滞納、2000億円超す・06年度)貸出総額は4兆7243億円に上るということなので、滞納率は4%強、10~15%になるサブプライムローンの延滞率よりはマシですが、けっして褒められたことではありません。

 滞納の原因について、報道によると

給食費や保育料などの滞納と同じく、利用者のモラルが低下していることが一因とみられる。

とあります。今日の朝日新聞には、保育料について払わないのではなく払えない人もいるという主旨の記事が出ていました。ただ、あまりに重箱の隅をつつくような、特殊なケースを引っ張り出して払えない人もいるんだと言っているような印象は拭えません。

 私も20年ほど前に、育英会の無利子の奨学金を受けていました。これらの記事を見て、そういえばと思って引き出しの中を探してみたら、奨学生手帳が出てきました。大学に入学した頃の、まだ10代の自分の写真が貼ってあって、20年も経つとずい分とくたびれるものだなと思いました。初々しいのは自分の顔だけではなく、その手帳自体もまだきれいです。手帳といっても、奨学金の支給や返済についての規則が書かれているだけのものでしたから、学生の頃からほとんど開いてみたこともなかったことを思い出しました。いま見て見ると、返済が困難になった場合は申し出によって返済を猶予できるといったことが書いてあったりして、「払わないのではなく払えないのならちゃんと手続きをとるべきだよな」などと思ったりします。

 それから自分が受けていた奨学金の額も出ていました。「そういえばそうだ、毎月31000円だったなあ。」などと懐かしく思い出します。この金額を大学1年の7月から卒業まで、合計45ヵ月間支給されていましたから、総額139万5千円を貸与されていたことになります。就職してから数年は、毎回10万円に近かったように思いますが、毎年返済していました。当時は一括して繰り上げて返済すると、繰り上げた金額の1割が戻ってくるという制度がありましたので、ある程度の蓄えができた時点で一括して返済してしまいました。無利子で貸してくれたうえに、約1割ほど負けてくれるのですから「ありがたいな」と思ったのを憶えています。

 格差是正ということが言われますが、教育機会の不均衡は重大な格差であろうと思います。その対策として奨学金制度の充実は大切なはずなのですが、返済の滞納で税金を使わざるを得ず、奨学金事業そのものの見直しを検討せざるを得ない状況だということです。格差是正を求めるのも国民なら、格差是正のための制度を喰い物にしているのも我々国民です。奨学金の返済を滞納したり、給食費や保育料を払わない人は、みんなで支えあうための制度をないがしろにするという意味で、年金保険料を横領する役人と変わるところはありません。盗っ人は牢屋へ入るべきですし、そういう盗っ人は何も年金の周りにばかりいるわけではありません。格差是正を本気で求めるのなら、盗っ人を牢屋へ入れることから始めたほうがいいのではないでしょうか。

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2007.09.10

演出不足ではないか

 安倍首相のインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続できなければ退陣との発言は、もう少し演出を入れてもよかったのではないかと思います。確かに野党が指摘するように、国会審議中に期限切れとなって自衛隊が一度戻ってきて、国会の会期を延長して衆議院の2/3の勢力を使って可決させるつもりだとしても、一国の首相が国際会議に出席して各国のトップに給油継続を約束した上での進退を賭けるという発言です。如何に必死かをアピールするいい機会だったのではないかと思います。

 思い出すのは小泉前首相の一昨年の郵政解散のときの演説です。20050808_kaiken 郵政民営化について、衆院は可決して参院で否決したのに衆院を解散して民意を問うという、大方の人がありえないと考えたことを強行して、理に適っていないという批判も覚悟の選挙に臨むに当たっての演説でした。

 あの時も郵政民営化についての世論の賛否は、半々くらいに割れていたはずです。それを衆院選で与党が2/3を超す圧勝をした要因は、何が何でもやり遂げるという総理の固い意思が国民に伝わったからではないかと思っています。

 今回のテロ特措法延長問題は、安倍首相が進退を欠けて取り組むに値する内容です。NHKの世論調査によりますと、給油活動への賛否はともに27%と割れています。小泉前首相と違って、安倍総理の求心力はすでに失われているかもしれませんが、もっと大演説をぶっていかに給油活動が大切か、日本の国際貢献をどう考えるのか、湾岸戦争の忸怩たる思いにまでさかのぼって国民に訴えかけてもよかったのではないかと思っています。

 シドニーでの会見だったのでなかなか大掛かりなことはできなかったのかもしれませんが、今日の国会での所信表明演説にしても物足りなさは否めません。それに野党の余計な野次がない分、海外のほうが気持ちよく演説もできそうなものだという気もしました。せっかくの機会を逃したようで、物足りないのと同時に気の毒にも感じました。

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